ろくたんくん、大西くんへ。
そして、今後、カンヌヤングコンペに出場しようと思っている人、出場する人へ。
1.予習する
海外で流行のバナー、流行の公共広告を押さえておく。
TAP WATER、去年のフィルム、サイバー、いくらでも文献はある。
ほとんどの手が「現実をつきつけてびっくりさせる」か、
「さらにそれをポジティブに描く」ものばかり。
「今年は何が来るんだろうな」というものを、ある程度予習しておいて、
自分たちの答えを作っておくといい。
つぎに、バナー。
世界中のおもしろバナーの事例は、ここに集まっている。
これを、ざざーっと見てみるとわかるんだけど、
おもしろバナーにも、たいがい分類がある。
ざっとぼくが思うのは、こんな系。
・●●かと思っていたら、●●じゃなかった。
(ゲームかと思っていたら、交通事故の啓蒙だった)
・マウスカーソルを擬人化
・Google Mapsとか、Box2Dとか、Twitter,FacebookのようなAPIを使う
・スクロールバーとか、実際のUIで韻を踏む
こういうのの、いずれにも入らないような、まったく斬新なものが、実際のアワードでは金賞をとっている。
こういうのとかね。
でも、そこまで考えなくてもいい。自分の勝利の方程式に入れるものがあれば、
ブロンズレベルでゴールドはとれる。
2.中村のときはどうだったか
ぼくのときは、「Right to play」というのが課題だった。
「貧しい国に、食べ物じゃなくて、スポーツで寄付をする」という変わった団体。
オリエンシートに書いてあったのは、
「なぜかというと、戦時下にあって辛い子供たちは、サッカーで遊ぶことすら知らない。
毎日生きるか死ぬかの瀬戸際で、精神的にも逼迫している。
食料で寄付をする団体はある。だけど、食料は食べたらなくなる。
ところが、スポーツは、ルールとボールを与えてあげると、なくならない。
スポーツをしているときには、辛い状況も忘れて、精神的に健康になれる」
ということだった。なるほどなあ...と思った。
SPFDesignの鎌田さんとタッグを組んだ。鎌田さんはデザインもFlashも企画もできる。
ぼくはFlashと企画が得意なので、鎌田さんにデザインしてもらって、
ぼくがFlashを組むことにしていた。
ぼくが考えていたことは二つ。
(1)絶対に、コピーで戦わない。
オリエンシートがいいだけに、みんなそれをやって失敗する。
ベストは、コピーがひとつもないくらいの状態。あって一言。
(2)明け方までに、絶対に案をFIXする。
正念場だから、ベストオブベストを頭で考えてしまって、お互い若いもの同士だから「これでいこう!」の瞬間がなかなか訪れない。
ぼくが決めて、方向を先導してあげたいなと考えていた。明け方にパレがオープンしても、まだ考えていたり、向こうで方向性を一変させるようなら、もう負けたと思ったほうがいい。
結果からいうと、作ったのはこれ。
こりゃ絶対に勝った、ほかのやつらがこのレベルを12時間で作れるはずがない、と思った。
しかし、2位だった。1位はブラジルだった。
このときに使った「手」を紹介するね。
●じつは、事前にホテルで5割作っていた
パレに入ってからはじめたのでは、これは多分間に合わない。だから、ホテルですでにモックを組み始めていた。
しかし、当時のルールでは、一切のデジタルなものは持ち込み禁止。USBメモリをつなごうものなら、即刻失格。
じゃあ、アナログだったらいいんだろ、ということで、
明け方まで書いたコードを日本にメールした。そして、それをホテルにFAXしてもらった。
翌日はパレで、それを新たに丸写しした。これで、時間を大幅に稼ぐことができた。
●きついレギュレーション
ぼくのときは、「60KB、12fps以内」というレギュレーションだった。
これはなかなかきつい。ぼくらの作品をよく見るとわかるんだけど、地面のテクスチャは、
小さなものを折り返して使っている。
12fps問題。これを解決するには、
setInterval(myFunc,33);
とやって、myFuncのなかで、すべての動きを書き、updateAfterEvent()をかけてやる。
こうすることによって、12fpsなのに、実際の動作は30fpsになる。
3.がんばる意味
なんだろうね。でも現場に行って、勝ったとき、負けたとき、その意味の大きさがわかると思うよ。
負けたり、100%を出し切れなかったら、きっとメチャクチャ悔しいはず。
そして、おそらく二度とはチャンスはめぐってこない。
ぼくは運がいいことに、三度もめぐってきた。
だけど、選外、2位、2位という結果しかもらえなかった。
世界中から、同じようなことを考えてる、同じような年のやつらが集まってきて、一番を決めるっていう、
天下一武道会みたいなイベントは、ほかにはなかなかない。
きっと面白いから、たくさん予習をして、全力を出し切れるようにがんばってみてね。
